道のりを織り込んだ家
Zurück zur Projektliste- Standort
- 神奈川県鎌倉市, Japan
- Jahr
- 2020
所在地は鎌倉の西御門である。鶴岡八幡宮の東側に位置し、鎌倉幕府の御所西門があったことから、この名がつけられた。
その歴史的背景のため、繁華街から物件までの道程は、街のアイコンが数珠つなぎとなって立ち現われ、それらを巡り進んでゆくことになる。桜の参道で有名な鶴岡八幡宮の段葛を通り、源頼朝墓所のそばを通過し、西御門の史跡碑を見て、旧里見弴邸を過ぎ、谷戸の奥まで歩を進める。この道程は小気味よく蛇行しながら上ってゆくため、街の深部へと進んでいるような心境となる。
このように本敷地の特長は、その魅惑的な道程にある。よって本住宅もその道程の延長として扱い、住宅スケールに落とし込んだ道程の空間体験を、建物のなかに織り込むことを意図している。
1階玄関→階段→2階ホール→ダイニング→リビングと、南に向かって徐々にレベルを上げて連なる空間。まるで路地を歩くように、各室ボリュームの間を縫い歩き、シーンを切り替えながら身体が上昇してゆくような感覚が得られる。そして最頂部のリビングまで上ると、そこは道程の終着点。最後は開放的な眺望の先にちらりと由比ガ浜が見える、という仕掛けをつくった。
建築のなかに道程を織り込むことで、地域とダイレクトに応答する建築となったのではないかと思っている。