御津の家
岡山県岡山市, Japan
- Architetti
- 藤原昌彦 / バウムスタイルアーキテクト
- Sede
- 岡山県岡山市, Japan
- Anno
- 2022
岡山市北区に建つ、30代前半の若いご夫婦と一人のお子さんための住宅である。(将来二人目を予定)敷地は、市内中心部から北に位置し少し古い住宅街の一画。近くにはクライアントご主人の実家があり、幼少期の頃から遊び場にもなっていた馴染み深い場所である。敷地からはどの方位でも遠くに緑深い山が望め気持ちよさを感じる反面、南側には平屋建てではあるが高さのある車庫があり、圧迫感と暗さを感じた。
クライアントからは、敷地の環境を活かしながら静かにゆったり過ごす暮らせる住宅を望まれた。要望と周辺環境から、全体の平面形状を前面道路に対し広がる「への字型」に計画した。その形状にすることにより、玄関を少し奥まったところへ配置でき、アプローチを長くすることで建物への期待感を向上させる設えとした。玄関を入ると正面に和室があり、建具を開け放つと玄関と一体となり広い玄関ホールとなる。さらに和室の開口部から望む庭とも繋がり、玄関・和室・庭が一直線となることで開放感と奥行き感のある空間となり、アプローチからの期待感を損なうことなく来客をもてなすことが出来た。また、主室(LDK)を平屋建ての屋根の構造がそのまま見える大らかな落ち着ける空間とした。主室それぞれの居場所から近景の庭と遠景の山を同時に眺められるように開口部を設け、リビングから庭を望む開口部はベンチのように腰かけられるようにし、キッチンは床のレベルを一段下げた。さらに主室の奥には、読書が趣味でもあるご主人の為のヌック(読書スペース)があり、主室とは逆に、読書に集中できるように開口部を絞りソファーを造り付け、さらに天井も低く設定し籠れる空間とした。室内環境として主室のある位置は、南側の建物影響を受けやすいと考え、太陽の熱を屋根から取り込む仕組み(屋根集熱システム)を組み込むことで、冬場の寒さを軽減できるよう計画した。
外観は、周辺環境に馴染む様に屋根は切妻屋根として、外壁には焼杉板を採用することで経年変化も楽しめる。この敷地のように住宅がすでに建ち並んでいる際は、出来る限り高さを抑え、控えめで端正な建築となる様に心掛けている。
柔らかな光が入り込む主室は、おおらかで個々の居場所をやさしく包み込みながら家族のつながりを創り出す。ヌックでご主人が読書を楽しみ庭では奥様とお子さんが花を眺めながらのんびりと暮らしている
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