写真 © 矢野紀行
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Arch Wall House

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場所
東京, 日本
2014

スロープ通路の左右から、曲面壁をアーチ状に伸ばして建つ2つの住宅。
左は一人暮らしの女性のための平屋の住宅(A棟)、右は夫婦+子供の三人家族のための二階建ての住宅(B棟)で、こちらはA棟に住む女性の子世帯にあたる。

1000㎡以上の広い敷地には、既存で母屋・離れ・小さな鳥居・お宮があり、路地と植木で庭が造り込まれ、南側は市道、北側は旧国道に接している。母屋を解体した場所にA棟B棟を建て、路地を拡幅延長する形でスロープ通路を作り、南北の道路を敷地内でつないだが、それ以外は出来るだけ既存のまま残した。敷地は地域に半ば解放された状態が長く続いていて、東西隣地や市道から任意で出入りできるようになっていたことから、急に敷地内の全てを変えない方が良いと判断したためだ。

この地域の交通手段や生活の利便性を考慮し、スロープ通路でA棟B棟それぞれの玄関前に自動車を横付けできるようにしている。A棟はそこから室内までバリアフリーに出入りでき、防犯のため周囲の地面から窓までの高さが2m以上となるように床レベルを設定している。

旧国道は非常に交通量が多いことからA棟B棟とも北側に窓を設けていない。隣家に向いた東西側の窓は小さめで必要最低限とし、庭に面した南側の窓は大きめにしている。また、A棟B棟ともに中庭とトップライトを設け、傾斜天井と曲面壁で変化のある室内空間としている。

中庭は最も大きな採光面であり、そこから傾斜天井に沿って光が室内に行き渡るようにガラス入りの欄間を設けている。トップライトからの光は曲面壁に張った磁器質タイルで反射させ、天気や時間帯によって様々な表情を持つようにしている。天気がいいときはシャープエッジ、曇りのときにはソフトエッジ、朝夕には淡い青紫の光になって室内に広がる。

スロープ通路の左右から伸ばした曲面壁の先端はわずかに離れており、法律的にA棟B棟は二世帯住宅ではない。しかし二つの世帯がそれぞれ完結し、距離感としては「隣り合い」と「向き合い」の中間をとりながら、生活や空間の一部を共有できるような住宅を試みている。

-中佐昭夫-

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