写真 © 藤本寿徳
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巣-pider

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場所
Fukuyama, 日本
2020

領域が伸縮するおおらかな環境
丘陵地を開発した郊外の住宅地に建つ家族4人の住まいである。周辺環境は、分譲地特有の縦横比をもった区画に対して平行に建てられた住宅群が画一的な風景をつくっている。敷地は北面道路に接道し、東西は坂道に沿った状態で隣地とは僅かな段差を伴っている。南面に対しては大きな高低差がつくる雛壇形状が特徴的な場所である。
計画にあたり、南西面の崖下が空地ということもあり建築全体を敷地に対して45度振った配置にすることで眺望・通風・採光・プライバシーを確保したおおらかな環境を考えた。
具体的には八角形の蜘蛛の巣状の架構を頂部から脚部へ向けて覆い被せることで求心的な一室空間としている。脚部は4点で支え、支点間の頂点を結んだ三角形の開口によって内外を繋ぐ。延床77㎡の内部には4つの箱を配することで生まれる余白が、家族共有の居場所として機能する。さらに各々の箱もアルコーブのような居場所として開かれており、個人の趣味が溢れた露地もしくは廊下ともいえる場所と合わせて家族が自由に過ごす。
整然とした状態もあれば、散らかって足の踏み場もない状態もあるだろう。部屋という領域を規定するものがないため、長い時間の中で子供の成長や家族の変化に合わせて露地を形成する範囲や模様も変化していくだろう。

暮らしのかたちに対して柔軟な考えをもった家族の日常を包含する、建築的強度をもった住宅である。

principal use: house
structure: timber structure
site area: 240.22sqm
total floor area: 77.07sqm
building site: Fukuyama, Hiroshima
completion date: 2020

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