写真 © Akira Kita
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高砂の家

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場所
兵庫, 日本
2015

高砂市南側に位置する、海にほど近い住宅地に建てる計画。すぐ近くを山陽新幹線が走り、周囲は建物が建て込んでいる。
クライアントの要望の中で最も特徴的だったのが“蛇籠を使うこと”。蛇籠とは、河川の護岸工事などで使われることの多い、通常土木関係で用いられる工法の一つである。私たちが提案した3つの案のうち、最も大胆に蛇籠を使用した案が採用となった。ファサードに幅5.5m、高さ3.5mの蛇籠を出現させる案である。
本計画では眺望は諦め、内部につくり出した世界を最大限楽しむ。道路からアプローチ方向を見ると、10m以上先に鋭角にとがった庇が見える。そこが玄関。そこまでの道中、蛇籠の内側のようすは窺えない。扉をあけると左側にストリップ階段越しに植栽、蛇籠が見えてくる。次に、高さ1.5mの入り口をくぐり和室から中庭の方に目を向けると、和室の小さな開口、リビングのFIXの向こうに明るい石の壁が見える。部屋の中は比較的暗く抑え、トーンを落とし、蛇籠を含む中庭が際立つようにしてある。逆に中庭に立ち和室側を見ると、暗めの空間を経て地窓のFIXからキリシマツツジの鮮烈な赤が控えめに目に入り込んでくる。
本計画では一見大胆な思い切った計画である。しかし実際にその場で感じる空間体験は、そのような印象ばかりでなく、むしろ非常に落ち着きのある、何とも居心地の良いものになったと思う。

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